ロシア文学の王道!ドストエフスキーの小説って読みにくいの?
こんにちは、この記事を書いているKenです。今日もでがらしで粘ります。
やっと。
やっと、です。
やっと、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読破しました。
たぶん、ページをめくり始めて6ヶ月ぐらい経過したのではないか、と思います。
もう、長かった。やっと読めて涙がでそうです。「1人しか参加者がいない」フルマラソンを完走した気分です笑
芥川賞作家の「金原ひとみ」さんも「カラマーゾフの兄弟」を読んだことがあるそうで、こんな感想を漏らしていました(asahi.comより)。
上巻半分を読むのに約三カ月。何なんだこのつまらなさ! と彼に怒りをぶちまけもしたものの、もう少し読めば面白くなる、という言葉に疑いを持ちつつも読み続ける事、更に一カ月。上巻の終わり辺りから本当に面白くなってきた事に戸惑っている内に、物語は加速していった。悪魔との対話、理性と愛と信仰、善とは、悪とは、神とは、息もつけない展開に思考も止まらず貪(むさぼ)るように、中巻と下巻を私はほぼ三日ほどで読み終えたのだ。
なんと、上巻で3ヶ月、中・下巻で3日!
という脅威の変則スピードで読み切っているではありませんか。どうやら、後半おもしろくなる小説として有名らしいですね。
ただ、ぼくは違いました。
コンスタントに上・中・下巻、同じスピードで読み切りました。だいたい、
上巻3ヶ月、
中で3ヶ月、
下で2ヶ月
というスピードでした。とくに後半話がおもしろくなるから速く読めたわけではなかったのです。
それでは、
なぜ、こんなに時間がかかってしまったのでしょうか??
もちろん、上・中・下の3巻あるのでかなりボリュームである、ということもあります。
ただ、その内容量に加えて、
ロシア文学に慣れていない初心者にとって読みづらい
という特徴があるからなんです。今まで読んできたエンタメ小説と異なり、かなり苦戦しました。
そこで、今日は、
ドストエフスキーの小説を読む前に知っておきたいロシア文学の3つの特徴
を紹介します。
文学小説をあまり読んだことがない、素人目からみたロシア文学の特徴をお伝えします。
これからドストエフスキーの小説を読む方の参考になれればうれしいです。
ロシア文学、ドストエフスキーの小説にみられる3つの特徴
ドストエフスキー小説の3つの特徴とはいったいなんなのでしょうか??
特徴1. 登場人物の名前がバリバリ変化する
ロシア文学のいちばん顕著な特徴は、
登場人物の名前が場合によって変化すること
です。
たとえば、カラマーゾフの兄弟の一人に「ドミートリイ・フョードロウィチ・カラマーゾフ」という奴がいます。これが彼の正式名前ですが、小説の中では、
ミーチャ
と呼ばれたり、
ミーチカ
と呼ばれたりするんです。
ロシア事情に詳しくない方にとって、「ドミートリイ・フョードロウィチ・カラマーゾフ」と「ミーチャ」のどこをどうとったら同一人物になるのか??
と思いますよね。
日本でいえば、「石川五右衛門」が「助兵衛」と呼ばれているようなものです。これはロシア文学初心者にはきついです。
どうやら、調べてみると、
ロシアの名前は、
名前(ファーストネーム)+ 父称 + 姓(ファミリーネーム)
の3要素でなりたっているらしいんです(NAVERまとめ参照)。
それで、
丁寧にその人物の名前を呼ぶ時は、「名前と父称をあわせて」呼ぶそうなんです。
たとえば、
「ドミートリイ・フョードロウィチ・カラマーゾフ」だったら「ドミートリイ・フョードロウィチ」になるわけですね。ふむふむ・・・・
そんで、もっとヤッカイなのが、
愛称
というやつです。親しい間柄では「名前+父称」ではなく、「愛称」というまるっきり別な呼び名になってしまうんです笑
たとえば、「ドミートリー・フョードロウィチ」だったら「ミーチカ」または「ミーチャ」。「カテリーナ・イワーノヴナ」だったら「カーチャ」や「カチェーニカ」になってしまうんです。
だから、横文字をおぼえるのが苦手だと苦戦するかもしれません。呼び名の変動に耐えきれず、エンストを起こしてしまう可能性があります。
ぼくもカタカナの名前が苦手でしたが、なんとか耐え忍んで読み続けました。
すると、だいたい「愛称」と「フルネーム」が一致してきます。臨界点をこえるまで粘ってみてくださいね^^
特徴2. 訳の分からないルビが入る
ドストエフスキー作品を読んで困惑したこと。それは、
意味のわからないルビがときどき入る
ということです。
ルビといえば、文章中のわきにつけられているフリガナのことです。よく難しい漢字にフリガナを振ってくれていますよね?? アレですアレ。
「漢字のよみがな」を教えてくれるの非常に助かりますよね。ただ、ドストエフスキーの本では、ちょっと困惑というか、意味がわからないルビが多々ありました。
たとえば、
ああ、しかしそいつは愚劣だよ、
というセリフに対して、
アー、 メ・セ・ベート・アンファン、
とルビがふってあるのです。だいたいこんな感じですね↓↓
たぶん、ロシア語の原文だと思うのですが、なぜたまにルビが挿入されているのかよくわかりませんでした。
ちょっとロシア気分を味わえていいですけどね笑 ロシア語がわかると面白いんだろなあー
特徴3. ()で補足説明が入る
ひんぱんに()で補足説明が挿入されていました。
読者にとって、物語を深く理解できるのでうれしいですよね。
たとえば、
そして、君は精神的に裁かれるだけで(ここで、あいつは笑いやがったんだ!)、ほかの人たちからは賞賛されるだろうという希望が、・・・・・
っていう感じです。
登場人物の心の中とか、物語の背景を説明してくれるのでありがたいです。
ただ、中にはけっこう長い補足文もあって読みづらくなるときがあります。
たとえば、
以前から彼女を深く愛していた男が(そう、彼女にはそれがわかりすぎるくらい、よくわかっていた)、そして、知性に対しても情操に対しても・・・・・
などでは、かなり長い補足分がふくまれています。
そのため、文章を読むリズムが狂うというか、()の補足説明を読むためにもう一度頭を切り替える必要がありました。
だから、日本の小説を読み慣れた読者にとって、リズムよく読み進めるのはむずかしいです。ぼくは最後のほうは()をスルーしていた気がします笑
この「()による補足説明」もドストエフスキー作品でみられた1つの特徴です。
まとめ:ドストエフスキーの小説作品は読み応えがある。
ぼくは1つめの「呼び名のちがい」で苦戦しましました。いやーつらかった。
カラマーゾフの兄弟は一度読めば満足ですねーはい・・・
たまーに、
ドストエフスキーの小説は「カラマーゾフの兄弟」か「罪と罰」のどっちから読めばいいのか??
と迷う方がいるそうです。ぼくなら迷わず、
「罪と罰」
をおすすめします。
なぜなら、カラマーゾフの兄弟にはキリスト教の話がけっこう盛り込まれていて、宗教に疎いぼくにとってはわかりづらい内容の箇所もあったからです。
「罪と罰」のほうが割と読みやすい内容で、しかもハラハラしましたねー。
ドストエフスキーの小説に挑戦してみたい方は今日から読んでみてくださいね^^
それでは、よいロシア文学をー!
Ken