オンライン講師が「手元の紙」を写して生徒に伝えるため、
書画カメラ
という撮影機器を使っている、と耳に挟んで以来気になっていた書画カメラ。
「書画カメラ」とは、紙のような平面の被写体を真上から撮影することに長けた撮影機でございます。こいつを活用すれば、白紙の上に何かを描く様子を真上から撮影できるため、教育現場で昨今活用され始めている実績があります。
さて。
この書画カメラにはいくつか種類が存在していますが、今回試しに導入したのが
OKIOCAM T
という書画カメラ。
安価で、かつ、軽量コンパクトであったことが決め手なりました。
今日はその導入を記念して、こちらのOKIOCAM Tの使い方を紹介します。
USB型 書画カメラ OKIOCAM T の使い方
使い方はこんな感じ。
組み立てる
OKIOCAM Tは主に2つの部位から成り立っています。
- 折りたたみマット
- 撮影カメラ
まずはこの「折りたたみマット」と、
「撮影カメラ」を結合させねばなりません。
折りたたみマットの端っこに「白いプラスチック」がついていまして、こちらが何を隠そう、カメラとの接合部。
こちらの「USE」にカメラのアームを取り付けていきます。
逆側の「STORE」は両者をコンパクトに保存する時に活用するところですので、今回は「USE」にカメラのアームを挿してみてください。
そうすると、以下のように折りたたみマットの上にカメラが立つでしょう。
専用ソフトをダウンロードする
この書画カメラはUSB型(タイプA)です。
ゆえに、USB接続口を持ったパソコンで使えるアプリケーションならば、すべてにおいて活用できます。
例えばSkype、Zoomといったテレビ電話アプリでもカメラとして活用できます。
ただし、「動画撮影」という用途に特化した使い方をするならば、専用ソフト「OKIOCAM Tスナップ&レコーダー」がおすすめです。
こいつを公式ページからダウンロードしましょう。


パソコンとUSB接続する
この書画カメラは先ほども紹介したようにUSB(タイプA)型のカメラです。
パソコンのUSBタイプAの差し込み口を通して、パソコンに接続できるのです。
ただし、MacBookのようなタイプA型の差し込み口がない場合、タイプAからタイプCへの変換アダプターは必要になりますけどね。
どんな手段を駆使しても構いませんので、とりあえずパソコンに書画カメラを接続してみてください。
撮影条件を微調整する
書画カメラをマットの上に設置し、その上から書画カメラで撮影していきます。
その際、いくつかカメラの設定項目をいじるようになっていて、
- ズーム
- フォーカス
- 露出
という3項目から選べます。
カメラ本体にも専用のボタンが用意されていますので、そちらを押すことで調整できます。
ズームはこのボタン。
4段階でコントロールできます。
フォーカスはこれ。
ボタンを押すだけで被写体に自動でフォーカスが合います
最後の露出はこのボタンで調整していきまして「-3 ~ 0 ~ +3」の6段階で調整できます。
明るさが足りないな、と思った時は露出を上げましょう。
以上はカメラのボタンでの操作法でしたが、先程紹介した「OKIOCAM Tの専用ソフト」にも専用コマンドは用意されています。
そちらで調節するのもありですね。
またこちらのカメラのセンターに設置された「青緑ボタン」を押すと、カメラの映像が180度回転します。
上下逆さに被写体が映っている時は180度反転させましょう。
また、ソフト上の歯車マークをいじれば、細かい撮影条件も設定できます。
- 解像度
- 動画写真の保存先
- 音声を録音するマイク
を調整できます。
撮影する
といった感じで、撮影の諸条件が整いましたら、専用ソフトのレコードボタンを押して撮影していきましょう。
動画撮影の注意点としては、
- 180度回転
- ズーム
の状態で動画撮影できないということ。
写真撮影ならば問題はありませんが、動画の場合は機器のスペックに限界があるようです。
撮影を開始した瞬間、180度回転は解除され、ズームなしの映像が記録されてしまいます。
保存する
レコードの停止ボタンを押すと撮影は終了。
動画撮影をされた方はファイルの保存形式にご注意ください。
動画の場合は「.webm」というファイル形式で保存されるのです。
「.webm」のままでは動画のファイルとして扱えませんので、 webm形式の動画をmp4形式に変換しておきましょう。
大変ありがたいことに、webmからMP4に変換するWebアプリがございます。
こちらをご活用ください。
実際にOKIOCAM Tで撮影してみた
はい、以上がOKIOCAM Tの使い方の概要でした。
実際にこの書画カメラの威力を確認するため、ほぼ平らな被写体を真上から撮影してみることにしたのです。
今回選んだ被写体は「Loupedeck CT」。
こちらは動画編集でも使っているコンソールです。ちょうどそろそろ真上から様子を撮影したいと思っていたところでした。
うん、確かに、真上から手でコンソールを動かしている様子を撮影できていますね。
書画カメラの役割である「真上から被写体を撮影する」ということに関してはしっかりクリアしています。
ただし、反省点としては画全体が暗く仕上がってしまったこと。
露出を最大限マックス「+3」に設定してみたものの、画の明るさはそれほど変わらず。
最善を尽くすべく、撮影用照明をいくつか準備するべきでした。
それから、思わぬ落とし穴だったのが「180度回転」と「ズーム」。
なんと、これら2つの設定は動画撮影の場合は解除されてしまうのです。
わたしはこのOKIOCAM Tの仕様を知らず
ズーム
180度回転
を適用して撮影を開始しようとしていました。
がしかし、撮影を始めた瞬間、突如2つの設定が解除されてしまい、カメラの向きと被写体の距離をアナログで再設定せねばなりませんでした。
これは動画撮影する方にとってはストレスに感じるでしょう。
静止画の撮影ならば180度回転、ズームの適用は保たれるのですけどね・・・・
書画カメラのOKIOCAM Tを使ってみた感想
最後に使ってみた感想も記しておきます。
軽量でコンパクト
この書画カメラの最大の利点は軽量でコンパクト、ということにつきます。
公式ページによると、
という質量で、さらにうまく収納すればこのようにコンパクトに収まります。
移動が多い撮影者の方にオススメの書画カメラです。
光の確保は難しい
今回、この書画カメラを使いにあたって一番苦戦したのが光の確保。
カメラの撮影素子が小さいためか、光を多く確保しなければ画が明るくなりません。
設定項目の露出をマックスにしても、思うように明るい映像を撮りにくいのが難点でした。
ISO感度を上げるコマンドもありませんので、センサー感度の変化で画を明るくすることは不可能。
それゆえ、撮影時には多大な光が必要なので、照明機材を用意するか、または太陽光がガンガン差し込む時間帯に撮影するしかありません。
多くのソフトウェアに対応
USB型の書画カメラであることもあり、パソコンへダイレクトに接続できます。
パソコン側では書画カメラが1つのウェブカメラとして認識されます。
ゆえに、ウェブカメラを使うアプリケーションならば、何でも書画カメラを通して映し出せます。
例えば、ズームやSkype、FaceTimeといったオンラインコミュニケーションツールでも十分に活用できます。
もちろん、この書画カメラを普通のウェブカメラとして使ってもいいわけです。
保存が大変だった
いやしかし、ちょっと辛かったのが動画の保存形式。
専用のソフトを使う限り、どう頑張っても「webm形式」で動画が保存されてしまうため、動画素材として使える形式に変換する手間が発生しておりました。
変換サービスがありますのでwebmをMP4にできなくもないですが、面倒くさいことは確かです。
はい、以上です。
勇気を出して書画カメラのOKIOCAM Tを使ってみましたが、正直なところ、ウェブカメラの域を出ない、というのが正直なところです。
一応最低限「上から平面の被写体を撮影する」という書画カメラの機能を果たしています。
が、しかし、それ以上でも以下でもありません。
他の書画カメラと比較すると、安価で、しかも、軽量でコンパクトで持ち運びしやすいメリットはあることは確かです。
「書画カメラ」という撮影デバイスが気になっていて、こいつの可能性を知りたい、という目的であればOKIOCAM Tで十分。
こいつで書画カメラ自体を試し、そこから上位機種にステップアップしていきましょう。
それでは!
Ken