海外在住者ってふるさと納税の意味ある?
年末シーズンに入ると確定申告が頭をかすめようになり、
「やれやれ、今年もふるさと納税で節約するか」
と、去年味を覚えたふるさと納税で寄付金控除額を増やそうと動き出しました。

がしかし、僕自身、今年8月から海外に在住している身なので、
「あれ、海外在住でも、ふるさと納税はお得なのか・・・・?」
と疑問が生じたのです。
海外に住み始めてから、日本に住民票がない「非居住者」の扱いになっている身です。
ふるさと納税の仕組みを前提によーく考えてみると、
いつ住民票を抜くのか?入れるのか?
という日本の居住者になるタイミングで、ふるさと納税が美味しいのか美味しくないのかの明暗が別れることに気がつきました。
今日はその気づきをまとめておきますね。
今回は、
- すでに海外に在住している方
- これから海外に住む予定の方
の2パターンに分けて整理してみました。
すでに海外に在住している場合のふるさと納税
まずは既に海外に在住している方です。
例えば、海外赴任になったり、僕のように留学で海外に住んだりなど色々なケースがあると思います。
それでは、このように「既に海外に住んでいる人」がふるさと納税したらどうなるのでしょうか??
この場合、
いつ日本に帰国して住民票を入れるのか?
という「帰国のタイミング」がカギになってきます。
年明け(1月1日)前に帰国して住民票を入れるケース
正月前に帰国して、住民票を入れる場合を考えてみましょう。
この時、この方が12月31日までにふるさと納税した場合、
セオリー通り、ふるさと納税の控除額をフルフルに受けられます。
具体的にいうと、
- 住民税控除(基本分)
- 住民税控除(特例分)
- 所得税控除分
すべて受けられます。
したがって、ふるさと納税の旨味である
実質2,000円で豪華な返礼品を受け取れる
というマジックが働きますね。
うん、つまり、まあ、
日本に住んでいる人と同じレベルでふるさと納税の旨味を吸えるのです。
年明け後に帰国する
お次は、年明け後(1/1)に日本に帰ってきて、日本の居住者になるパターンです。
この場合、残念ながら、
ふるさと納税の控除額を満額受け取れません。
なぜなら、
所得税控除しか効き目がないからです。

住民税は1月1日時点に住民票を置いている市区町村に払うルールになっていますね。
1月1日の時点で日本に住んでいない非居住者ならば、翌年の住民税は払わなくていいのです。
ふるさと納税の控除額である
- 住民税控除(基本分)
- 住民税控除(特例分)
は、その名の通り、住民税を払う時に控除してもらえる金額。
それゆえ、そもそも1月1日地点で非居住者になっていると、ふるさと納税の住民税控除を受けられないのですね。
この場合、ふるさと納税の旨味のうち「所得税控除」のみ享受できるので、
(寄付金 – 2,000円)× 所得税率
分だけ控除を受けられます。

計算式に含まれる「所得税率」は所得の大きさで変化し、所得が大きいほど税率も大きくなります。
国税庁のページによると次のような表になっていますね↓
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、所得180万円のプレイヤーがいたとしましょう。
この方がふるさと納税で20,000円のうなぎをゲットしたとすると、所得税率は5%なので、
(20,000-2,000)× 5%
=900円
という1,000円弱の所得控除を受けられるでしょう。
したがって、実質19,100円でうなぎをゲットしたことになり、そんなにお得感はありませんね。
ふるさと納税の控除では圧倒的に「住民税控除」が大きいです。

そもそも住民税を払う必要がない居住者だと、ふるさと納税の効果が激減。
すでに海外に在住している方は日本に帰国するタイミングがカギになってくる訳ですね。
これから海外に住む予定の場合のふるさと納税
先ほど、すでに海外に在住しているケースを見てきましたが、もう1つあり得る可能性があります。
それは、
ふるさと納税後に出国予定がある方です。
例えば、いきなり会社の都合で海外赴任が決定したサラリーマンとかですかね。
ふるさと納税を悠々楽しんでいたのに、いきなり国外に住むことが決まってしまった方も世の中にはいることでしょう。
このパターンは次の2種類にわかれます。
年明け後に出国する予定
12月31日までにふるさと納税をおさめて、かつ、1月1日以降に日本を出国予定の場合。
このケースでは、満額でふるさと納税の控除を受けられます。
なぜなら、1月1日の時点で住民票が入っているので、翌年の住民税を支払う必要があるからです。
その翌年の住民税支払いの際に、ふるさと納税の住民税控除額を享受できるわけですね。
したがって、この場合、
- 住民税控除(基本分)
- 住民税控除(特例分)
- 所得税控除分
を受けられ、ふるさと納税の旨味をマックスで吸えて、
「実質2,000円で返礼品を受け取る」というからくりも働きます。
年明け前に出国予定の場合
一方、1月1日より前に出国し、住民票を日本から抜いたらどうなるのでしょうか?
この場合、1月1日を待たずに出国しているので、
翌年の住民税は払う必要がありません。
住民税を払わなくなるということは、
ふるさと納税の住民税控除額の恩恵を受けられないのです。
先ほど紹介した「1月1日のあとに帰国した場合」というケースと同様に、
ふるさと納税の「所得税控除額」しか旨味がありません。
住民税は支払う必要がないけど、ふるさと納税の効力が小さくなってしまうのですね。
まとめ:海外からふるさと納税できるけど住民票がカギ
という感じで、いくつかパターンに分けてみましたが、僕は幸か不幸か、2つ目に紹介した
年明け後に帰国する海外在住者のパターン
です。
翌年の住民税は払わなくてもいい分、ふるさと納税の旨味を吸いきれない
という板挟み状態になっています。
ただ、海外在住者の方の中には出国・帰国のタイミングによってはふるさと納税がお得になる方もいるでしょう。
そういう方ならば海外からでも「さとふる」などのポータルサイトで返戻品を探し、ふるさと納税を楽しんでみてください。
それでは
Lin
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