中国語の試験には、日本では大きく「中国語検定」と「HSK」が存在しています。
両者の難易度がよく比較されますが、中でも受検者が多い、
- HSK4級
- 中国語検定3級
はどちらの難易度は高いのでしょうか。
中国語検定の公式ページで両テストの難易度が比較されています。

http://www.chuken.gr.jp/tcp/outline.htmlより
これによると、中国語検定3級はHSK4級よりも難易度が少し高い、みたいです。
「中国語検定3級」と「HSK4級」の違い
これは一体全体、本当なのでしょうか?
今日は上記2つの検定に合格したわたしが真相に迫っていきます。
公式情報の合格目安
まずは両者が公開している「検定合格の目安」を見ていきましょう。
中国語検定3級はこちら、
自力で応用力を養いうる能力の保証(一般的事項のマスター)
基本的な文章を読み,書くことができること。簡単な日常会話ができること。
(学習時間200~300時間。一般大学の第二外国語における第二年度履修程度。)
発音(ピンイン表記)及び単語の意味,常用語1,000~2,000による 複文の日本語訳・中国語訳。
HSK4級はこちら。
HSK4級は、受検生の日常中国語の応用能力を判定するテストです。
「幅広い範囲にわたる話題について、中国語でコミュニケーションをすることができ、中国語を母語とする者と流ちょうに話すことができる」ことが求められます。学習目安
1200語程度の常用単語と文法知識を習得している者を対象としています。
大学の第二外国語における第二年度後期履修程度の学習が目安とされています。
上記をまとめると次の表になります。
試験 | 学習目安 |
---|---|
中国語検定3級 | 一般大学の第二外国語における第二年度履修程度 |
HSK4級 | 大学の第二外国語における第二年度後期履修程度 |
学習時間の目安はだいたい一緒。
両者ともに「大学の第2外国語言語で約2年間学んだ程度の方」を対象としています。
単語数
ただし、使用単語数に少し開きが見られます。
試験 | 単語数 |
---|---|
中国語検定3級 | 常用語1,000~2,000 |
HSK4級 | 1200語程度 |
ズバリ、中国語検定3級のほうが出題単語数は多いです。
ただし、記載されている「1000〜2000」の意味は正直、よく分かりません。
1000の時もあるのか、はたまた、2000の時もあるのか?
おそらくですが、テスト回によって単語数は1000〜2000の間で上下する、と考えます。
一方、HSK4級は「1200語程度」とほぼ一定。
まとめると、公式情報を参照する限り、
出現単語数は「MAXで」中国語検定3級のほうが多いのです。
合格ラインの違い
今度は「合格ライン」の違いです。
両テストは次の合格ラインを敷いています。
試験 | 合格基準 |
---|---|
中国語検定3級 | リスニング、筆記ともに65点以上(100点中) |
HSK4級 | 6割(180点)以上のスコア |
これからわかるのは、
中国語検定3級のほうがボーダーラインが高い、ということ。
じつに正答率で「5%」高く合格基準を設けています。
それに加えて、各セクションの「足切りライン」も設定されています。
総合200点中65%の130を獲得したとしても、まだ安心できません。
リスニング・リーディングのいずれかが合格基準65%を切れば不合格になるのです。
一方、HSK4級の合格ラインはどうでしょうか。
各セクションの足切りラインはなく、とにかく総合180点とれば合格できます。
リスニングが「0点」であっても、読解と作文で90点獲得すれば、合格ライン180点に届く計算になります。
このことから分かるのは、HSK4級はリスニングが壊滅的でも突破できる可能性があること。
つまりつまり、リスニングが苦手であるが一方、読解・作文に長けた民(日本人)には合格しやすいのがHSK4級だったのです。
これこそ、わたしが5年前にリスニングが壊滅的でもHSK4級に合格できた理由です。

読解と作文だけ頑張れば、HSK4級に合格できるのです。
したがって、HSK4級のほうが合格基準はゆるく突破しやすい、と言えましょう。
リスニングの違い
ここまで見ると、中国語検定3級のほうが難しそうに思えます。
ただし、ちょっと待ってください。
両者のリスニング問題には「ある決定的な違い」があるのです。
それは、リスニング音源が読まれる回数です。
中国語検定3級では「2回」音声が読まれますが、HSK4級は「1回」しか読まれません。
リスニング難易度を考えると、1回しか読まれないHSK4級のほうが難易度が高いと言えましょう。
放送回数の「1回」と「2回」はまさに雲泥の差。
中国語検定3級なら一度聴き逃してしまっても、 2回目でしっかりと聞き取ればいいです。
一方、HSK4級は一発勝負なので、リスニングの緊張感が違います。
聞き逃したら、終わりですからね。
中国語検定3級の「音源が2回読まれる」という優遇措置がゆえ、リスニングのセクションならば、中国語検定3級のほうが格段に簡単です。
これはおそらく、中国語検定3級の受検者「日本人」に配慮した結果なのでしょう。
中国語検定は日本人しか受検しない、と想定された検定試験です。
ということは、ほぼすべての受検者はこぞってリスニングが苦手なはず。
そんな人々に1回しか音源を聴かせないと、リーディングとリスニングのスコア乖離が激しくなる、と予想されます。
一方で、中国人が取り計らうHSKは、日本だけでなく世界中で受けられています。
そして、日本人以外の人々は、リスニングが得意です。
逆に、読解・作文は驚くほど苦手。
その世界の人々の「逆の特性」を持つ日本人は、中国語学習業界でいえば「異常」なのです。
したがって、HSK4級のリスニングは1回しか再生されないがゆえ、リスニングが苦手な日本人には難易度が高く感じるのです。
出題内容の難しさ
以上、実際の数値・データ・出題形式で比較してきました。
両者を受検して判明したのは、
出題内容の難易度の違いです。
個人的な感想で申し訳ないのですが、HSK4級のほうが内容は難しいです。
自然な中国語が使われていて「中国人ネイティブらしい」、中国で使われる実践的な文が頻発していました。
一方、中国語検定3級はどちらかというと、大学の第二外国語の教科書的な問題が多いです。
ピンインを正確に選んだり、細かい文法事項を正確に記憶する必要があります。
日本人にとって中国検定3級はわかりやすく簡単ですが、一方で、中国人が作ったHSKは難しく、そして「自然な中国語」で構成されています。
こういった面を考慮すると、中国語力を上げるならHSK4級がオススメです。
一方、日本人の特性(リスニングが苦手で、リーディング、ライティングが驚くべきほど得意)に沿って中国語上達の階段を登りたいならば、中国語検定3級がおすすめですね。
結論:難易度が高いのはどっち?
はい。結論をそろそろ言ってしまいましょう。
どちらが難しいと聞かれたら、わたしならば、
HSK4級のほうが難しい
と答えます。
その理由は、
- リスニングの音源が1回しか流れない
- 問題で使われる中国語の難易度の高さ
という特性があるからに他なりません。
ただし、合格ラインに関しては、中国語検定3級のほうが厳しいです。
合格基準が5%高い上、リーディング・リスニングの足切りラインが付いてますから。
「合格できるか否か」という観点でいえば、中国語検定3級のほうが難しい、と言えます。
両者とも、いいところもあり、悪いところもありで、全く異質のテストです。
両試験にチャレンジし、中国語力を磨いてみてください。
それでは!
Ken
【中検 3級の単語をでる順に完全制覇!】〜中検攻略シリーズ第3巻〜
中国検定試験(中検)の「3級」向けの単語帳です。過去13年分の過去問を分析して抽出した888の単語および会話表現を「でる順」に紹介します。
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中国語検定3級対策としてご活用ください。