安部公房のおすすめの小説は一体どれ??
「砂の女」という小説を読むまで安部公房をなめきっていました。というか、世間一般で文豪と尊敬されている作家全体をなめきっていました。なぜなら、
どうせお前ら凡人にわからんこと書いてるんだろ??
と思ってたからです。今更ながらむちゃくちゃ恥ずかしいですね笑
しかし、安部公房の小説を読んでぼくの考えが270度ぐらい傾いちゃいました。電車の中で読書しながら、何度「安部さんすげえ」と独り言をいってしまったことでしょう。恥ずかしてく考えたくもありません。
そこで、今日は反省の意を込めて、
超決定版!安部公房の小説おすすめ10のまとめ
というタイトルでお送りいたします。
書き始めた当初は「砂の女」しかまだ読んでいない状態です笑。徐々に安部公房の小説を読破しながらコンテンツを作成していきます。そこらへんはご了承を。
以下が本記事のもくじです。
- 安部公房の3つのすごさ
- おすすめの安部公房小説10冊
それでは上から順番に見ていきましょう。
小説を読み込んでわかった安部公房の2つの凄味
おすすめの小説を紹介する前にぼくが書き留めておきたいことがあります。
それは、安部公房という作家の残した小説のすごさ、です。
なぜ、彼の小説は名作といわれるのか。
なぜ、世界中で翻訳されるのか。
ということを突き止めてみたいと思います。
ぼくが個人的に感じた安部公房のすごさは以下の3つです。
すごさ1.安部公房の文体
文章の書き手はそれぞれ、自分だけのライティングスタイルである文体を持っていますよね?
もちろん、ただの売れないブロガーのぼくだって持っています。書き手の文章のスタイルから、書き手の生き様・性格・恋愛経験・妄想力、などの幅広いスペックが導出されることは有名です。
じつは、安部公房という小説家はとくにこの「文体」が強い。筆舌に尽くしがたいのですが、とにかく強い。知らず知らずのうちに、彼が創作した物語にグイグイ引き込まれてしまう。さらに、強引に読者を巻き込んでいくくせに、不快感を与えない。むしろ、読んでいて心地よい文体。ぼくはこれまで様々なスイーツ系の小説を読んできました。しかし、安部公房のように文体で魅せられた小説家には出会いませんでしたぜ。
すごさ2.安部公房の空想力
この世に存在する小説家の空想力には思わず舌を巻きます。なぜなら、数多くの作品を無の状態から創り出しているわけですから。しかもあんなに小説家が世界にうじゃうじゃいる。もうこれは言葉にできないすごさですよね。たぶん、すべての小説家の空想力をかき集めたら空想力発電ができちゃうんじゃないですかっはは。
がしかし。安部公房の空想力はグンを抜いています。その彼の空想力からはみ出る物語、さらに、物語に登場する人物たちがもつ想い、というものには常に驚かされています。
安部公房おすすめの小説10選
さて、つぎです。文豪である安部公房が創作した小説を10冊ほど紹介していきます。
この記事はぼくの読書の進行度と同時進行で作成されていきます。そのため、夏休み終了後に期待しておいてくださいね。
1. 砂の女(1962年)
この小説の舞台はタイトル通り、砂。そう、砂の上。
そう、この小説は砂漠でのボーイミーツガールの物語です。
まさに恋の物語を欲している飢え男女におすすめの小説です・・・・
といいたいところですが、そんなピュアで愛しい小説なんかではありません。
このストーリーは、昆虫探しに行った主人公男が砂漠のある巣窟に閉じ込められる、というものです。
男は普段通りの生活、自由を取り戻すことができるのか!?
砂漠とその周辺の群集と、そして、女との戦いに注目です。この小説のあらすじはすこぶる難解なものに聞こえてしまいます。しかし、安部公房さんの文章力・表現力の高さのため、イメージがしやすくてしょうがありません。もう小説を読んでいると砂漠で読書をしているように感じますね。今度、鳥取砂丘に行こうと思います。
2. 箱男(1973年)
この小説は段ボールをすっぽり被った「箱男」が主人公の物語です。ぼくは実際に段ボールを被った「箱男」なる人物に出会ったこともなければ、電話で話したこともなければ、LINEのチャットをしたこともありません。それぐらい遭遇するのが珍しいキャラクターなわけです。
その箱男が段ボールの内側に記述した「落書き」が読者に次々と公開されていく、という物語の進め方をとっています。そのため、物語の語り役は自然と「落書きの書き手」、ということになります。しかも、語り口調は事実をタンタンと述べていくような叙述方法なのです。
しかもしかも、この書き手が頻繁に物語の中で変化し続けます。したがって、読解力や推察力に欠けるぼくのような読者は一体なにがどうなっているのか分からなくなってしまいます笑 たぶん、この小説を完全に理解するには一回では難しいのではないか、と勘ぐっていますw
この物語を理解することはできませんでしたが、箱男になってみたい、という気持ちは強まりました。そうです、常に見る側に回ることができるからです。そんな生き方してみたいものです。
そ、そこで。実際に東京で箱男になってみることにしました笑 ぜひ興味がある方はやってみてくださいね。
>>実際に箱男になってみたよ記事はコチラから<<
3. 壁(1951年)
1951年に芥川賞を受賞した安部公房の代表作。「S・カルマ氏の犯罪」、「バベルの党の狸」、「赤い繭」の3つの物語から編成されています。一応、どの話の中にも壁が登場します笑 安部公房が作り上げた物語の中で「壁」に関するものをかき集めた本、と行っても過言ではないでしょう。
ただ、「壁」に収録されている話はどれもクレイジーです。安部公房の想像力が高すぎて、彼が綴る物語の情景を思い浮かべるだけで精一杯でした。ただ、読んでて不快になるような小説ではありません。むしろ、著者の想像力の高さに圧倒させられる小説と言えますね。ぼくは特に「バベルの塔の狸」の詩人が「とらぬ狸」という生物に影を食べられる、という初期のくだりが好きです。訳が分からないけど読まざるを得ない、そんな小説ですw
4. 方舟さくら丸(1984年)
かつて採石場だった広大な地下広場を掌握している主人公「モグラ」。彼はこの広い敷地を「核戦争から逃げるための核シェルター」として利用しようとします。彼はこのスペースを「方舟」と呼び、核戦争後に共に生き残るべき仲間を探しに外に出て・・・・・
という話です笑
この小説のあらすじは本当に説明が難しいです。友人に「今なんの小説読んでるのー?」と尋ねられても、物語の描写が困難なため、「えっっと、あ、あ、核シェルターの話だよよ」と狼狽してしまいます笑
あらすじを聞くと、かなりぶっ飛んでいる物語のように感じます。がしかし、今まで読んできた安部公房の作品の中ではかなりいい方です笑 たしかにまともな話じゃないけどストーリーの後を追うことができる。小説が苦手な方でも安心して楽しむことができるはずです。
ぼくが個人的に好きだったのは、主人公の自虐的性質。主人公はモグラのように太っているそうですが、物語の中でかなり自分の肥満を自虐するシーンが登場します。なぜかぼくは自虐的な主人公が好きです笑 そのため、この「方舟さくら丸」という奇妙な小説も気に入りました。なんだか無茶苦茶なこと言ってますねw
5. 他人の顔(1966年)
自分の顔がヒルだらけになって顔を失ってしまった男の物語。最愛の妻に向けた手記が延々と書かれている小説です。そのため、会話がすこぶる少ないのが特徴。主人公の胸の内が語られまくっています笑
普段、顔の存在意義について思いを巡らせたことがないぼくにとって、かなり衝撃的な小説でした。
もし、突如、顔をうしなったら周囲はどう反応するのか?? 竹馬の友や恋人(今はいないですけど笑)は今まで通り接してくれるのか。今まで通り歯を見せて笑ってくれるのか。
そんなことについて考えさせられる小説でした。読み応えたっぷりの安部公房おすすめの長編小説です。
6. 笑う月
著者、安部公房自身がみたであろう夢がもとになっている短編集。ぜんぶで17篇ほどの短編がおさめられておりますが、そのどれもが読みやすくわけがわかりません笑
いちばん印象に残っているのは藤野君の話ですね。劇作家でもある安部公房がどのように夢を創作にいかしているのか参考になります。ぼくも印象に残った夢はボイスレコーダーに吹き込もうと思います笑
安部公房の小説を読み次第追加していきます笑
この記事を書き始めたときは「砂の女」しか読んでいませんでした。
しかし、タイトル的に「【決定版】安部公房のおすすめ小説1のまとめ」はカッコ悪すぎます。そのため、10冊も安部公房の小説を読んだ体で記事を書き始めました笑
じゃんじゃん更新していきますので交互期待していてくださいね。
それでは。
Ken Sawai
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